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PRIME NEWS2010年8月24日放送分

以下、PRIME NEWS2010年8月24日放送分<保守的で内向きな若者 その弊害と改善策とは>に対するレビューです。
     

    

24日放送分のPRIME NEWSでは、『なぜ若者は保守化するのか』の著者である山田晶弘氏をスタジオに招いて、ここ数年における若者の安定志向について議論するというものでした。

   

全体的には、「若者の保守化」とは何なのか、それは確かに起こっていることなのか、という点に多くの時間が割かれていたような気がします。

といいますのも、まず番組冒頭で下図のような資料が提示され、それらに基づいた山田教授ともう一人のゲストの方が「若者の保守化」について所感を述べられていました。

しかし、上図のデータや、もう一つの例として挙げられた産業能率大学の調査資料に対して、早稲田大学政治経済学部教授の河野勝氏が批判的見解を示します。その批判とは、これらの資料は産業能率大学や日本生産性本部といった団体のプログラムを受けている人にしか回答権限がない調査資料で、「日本の若者」の傾向を示す資料としての代表性に欠ける、というものでした。

そして、「日本の若者が保守化している」というメッセージを大々的に出したいのであれば、全国を対象としたデータがあって当然だ、という河野氏に対して、山田氏はほとんど回答になっていない回答で、しどろもどろになってしまっておられました。

     

はっきり申し上げますと、この時点で24日放送のPRIME NEWSは実質的に終了しました。

タイトルから想像するに、「若者の保守化」を前提にその弊害と改善策を議論するという趣旨で構成された番組であったと思われますが、前提そのものが早々に崩れてしまったため、その後の議論の多くは「若者の保守化」という主張の妥当性に関するものであり、山田氏は客観的で有効なデータをお持ちでないということだけが示され続けました。

    

このように、「パラサイトシングル」や「婚活」といった個々の特殊事情を無視して一括りにし、マスメディアとの連携プレイで話題づくりをして著書を売って儲け、さらに内閣府男女共同参画会議民間議員である山田昌弘氏の胡散臭さが明らかになりましたが、その点において、24日放送分のPRIME NEWSは報道番組として非常によく出来たものでした。

     

以上。

PRIME NEWS 2010年8月23日放送分

以下、『PRIME NEWS』2010年8月23日放送分、「どう動く! 迫る代表選」のレビューです。

23日(月)のPRIME NEWSでは、鳩山前首相をスタジオに招いての、民主党代表選挙への展望が議論されました。

途中までしか視聴していないのですが、印象に残ったのは西岡参議院議長による「政治に残された時間と余白はあるのか」という声明です。これは当放送と同日23日に、国会内でわざわざご自身によって開いた記者会見の場で、あらかじめ用意しておいた文章を読み上げる形で述べられたものです。

     

下記添付写真は、番組内における上記声明を要約したフリップです。

この声明のさらなる詳細は、こちらをご参照ください⇒『民主党代表選と西岡参院議長の「正論」と』(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)

さて、上記声明に対する鳩山前首相のコメントですが、簡単に言うと、「政策内容の相違ではなく、政策を実現していく能力を巡って代表選が戦われることもあるのだから、負けたからといって必ずしも離党しなければならないわけではない」というようなものでした。これは、上記声明のなかに「代表選に出るということは、自らの政党の現政策・理念に異を唱えることだから…」という趣旨が含まれていたことに対する反論だと思います。

また、「敗者にポストが与えられる」「就職活動劇」という批判に対しては、閣僚のポストについては首相自身が、任せるべき役割があると思うなら任命すればよいし、そうでなければ選ばなければ良いので、批判には当たらないとのことでした。

     

これらはまあカメラの前では致し方のない建前論で、実際には西岡氏が主張されている通りだと思います。

鳩山氏は自身の前内閣において、数ヵ月後には<ここ数カ月の政策には友愛の政治は十分に見えない>と言うようになるほど理念において隔たりのあった管氏を副大臣のポストに任命しなければならないほど、複雑な駆け引きがあるのでしょう。(時事通信8月27日)

    

     

また、番組内で特に気になったのは、鳩山氏が自身の退任について「同志に迷惑をかけられなかった」という点を強調されており、またその後の管内閣での参院選について「(支持率の高いうちに実施できれば)もっと救える人(議員)が多かった」と述べられていることです。

また、代表選の行方については、「世論的には小沢氏は支持を受けにくい」としながらも、「国家運営をしていく上では小沢氏が適任」という見方を提示されていました。

そして続けて、野党と政策毎に協議し妥協点を模索していかなければならない現在のねじれ国会について、そこに新しい民主主義の在り方を見出すことができるという趣旨のことをおっしゃっています。

    

民主主義って一体何だったけ? と、こちらが眩暈を起こしそうになるほど政治業界ならではの偏狭な視点で語られています。

基本的に、現在日本に行われている政治は、ほとんど政治とは呼べない代物です。

たとえばアメリカ合衆国の政治学者デイヴィッド・イーストンは、政治を「社会に対して行われる諸価値の権威的配分」と定義しています。つまり、希少性ある富をめぐって起こる人々の間の紛争を、強制力を伴った適切な再配分を行うことによって解決すること、それが政治だというわけです。

このような定義における政治が戦後日本になかったことは、ある意味では当然のことだと思います。そもそも高度経済成長期において、程度の差はあれども、ほとんどすべての国民が豊かになっていったのですから、再分配を巡る紛争は切実さを持ちえません。

     

ですが、今後はそのような過去とは違ってくるだろうと予想されます。持てる者と持たざる者との対立や、価値観や理念の対立が、より鮮明でかつ切実なものとなってくるでしょう。

政治家は、自身がどの層のどのような利益を代表しているのかに対して自覚的にならざるを得なくなるでしょうし、一方で尖鋭化した対立関係においていかに「クーデター」や「内乱」や「戦争」を避けるのか、という知恵が必要となってきます。

現在の政治は残念ながら未だ過渡期にあって、昨年の政権交代は小さな予兆に過ぎません。

しかし、そろそろ国民に対して「国民の皆さまに…」と呼び掛ける政治屋に代わって、「私たち国民は…」と語り始める政治家が現れても良いのではないかと思うのですが。

     

以上

PRIME NEWS 2010年8月19日放送分のレビュー

以下、『PRIME NEWS』2010年8月19日放送分のレビューです。

8月19日放送分では、<なぜ今【ピーター・F・ドラッカー】が注目されるのか? 知の巨人、経営学の神様が残したマネジメント論を学ぶ>と題しての、ドラッカー特集でした。

ゲストは、『もしも野球部の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(以下『もしドラ』)の著者である岩崎夏海氏、ドラッカー学会の会員で立命館大学経営学部教授の三浦一郎氏。またキャスターとして慶応義塾大学総合政策学部教授の上山信一氏という顔ぶれでした。

     

番組ではドラッカー氏における経営、組織、社会的責任とテーマを区切って進んでいくのですが、経営の部分において、ドラッカー氏による「顧客の創造」ということがメインテーマになりました。

そのなかで、『もしドラ』において主人公である南が、自身がマネージャーを務める野球部において考える顧客とは、「部員」・「親」・「先生」・「学校」・「東京都民」・「高野連」・「高校野球ファン」だと紹介されました。そして、彼ら顧客に対して「感動を与えること」が当野球部という組織にとってのミッションだそうです。

また、実際の「顧客の創造」において岩崎氏は、『もしドラ』を、購入者にとって「読むための」本という従来的な商品定義から一歩進めて、「人に薦める」本(=贈答品)として位置づけようとされたとのことです。これは、「人に薦めたくなる」本ではなく「人に薦める」本というのがポイントだと思います。両者においては商品の「価値」が決定的に異なるからです。

     

一方番組においては、顧客の創造は二つの切り口から見ることができる点で進行されていきます。その一つはマーケティング的観点で、リサーチにおいて明らかとなった顧客の顕在欲求としてのニーズを満たすことを指しています。もう一つはイノベーションの観点で、未だ潜在的なものにとどまっている顧客のニーズを読み取り、新たな満足を生み出すことです。

リサーチに関して三浦氏は、一般的に顧客が自ら意識してわかっていることは調べられるが、わかっていないことは調べられないとおっしゃっていました。

これはかなり以前から指摘されているマーケットリサーチの欠点で、たとえば『マーケティングの神話』(1993年)において著者の石井淳蔵氏は、

(消費者は)口に出る言葉以上に、いろいろなことが実はよくわかっている。「洗濯機に何か不満はないですか」と言われれば思いつかないが、「音がうるさいでしょう」と言われればその通りだと思う。

と述べられており、<消費者欲望ないしはニーズは消費者によって自覚されることはあるのか>と疑問を呈されています。

近年おいて急成長した一部の先端的なマーケティングを行っている会社では、実際にマーケットリサーチの位置付けは以前よりも低いものとなっています。

     

つぎに番組における組織運営のパートにおいてですが、ドラッカー氏が人のマネジメントにおいて、「組織の目的は人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和することにある」と述べたことを紹介されました。

大事なことは、ここからマネジメント論へと入っていくことではなく、まずドラッカー氏におけるその(強み/弱み)を判断する基準を考察することではないでしょうか。たとえば岩崎氏は『もしドラ』の高校野球部においてにおいて、「勝つ」ことと同時に「顧客満足」を得る、という新しい基準を提示しました。これは後述するようにドラッカー氏の思想に対して非常に忠実なものとなっています。

       

最後のテーマは、ドラッカー氏の社会的責任論です。引用された氏の言葉は、「現代の組織は、それぞれの分野において社会に貢献するたあめに存在する。それは、社会の中に存在する。地域の中に存在する。隣人として存在する。そして社会の中で活動する」というものでした。

これに対して上山信一氏は「共産党宣言みたい」とおっしゃっていましたが、共産党宣言というよりもこれはアソシエーショニズムだといえると思います。

たとえば言語学者のノーム・チョムスキー氏は、国家の形態を「リベラリズム」、「福祉国家資本主義」、「国家社会主義」、「リバタリアン社会主義」という四つに分類しました。

批評家の柄谷行人氏は、上記チョムスキーの分類に従いつつ、「リバタリアン社会主義」を「アソシエーショニズム」と言い換えました。

資本主義的な社会構成体には、逆にそこから出ようとする運動が生じます。それは、商品交換(リベラリズム)という位相において開かれた自由な個人の上に、互酬的交換(国家社会主義)を回復しようとするものだといってよいでしょう。私はそれをアソシエーションと呼ぶことにします。(『世界共和国へ』)

※文中()は私による表記です。

つまり、市場原理主義的なものの空間のなかで共産主義的なものを回復すること、それを柄谷氏はアソシエーショニズムと言っています。

上記ドラッカー氏による企業の社会的責任論を上山氏が「共産党宣言みたい」とおっしゃったのが間違ってはいるものの言い得て妙なのは、ドラッカー氏は、企業において利潤追求(市場原理主義的なもの)をベースにその社会的貢献(共産主義的なもの)を志向したからです。

先ほどの話ですが、岩崎氏の『もしドラ』における「勝利」と「顧客満足」の関係には、こうしたドラッカー氏のスタンスへの忠実さが表れていると言えるのではないでしょうか。

     

今日においてP.F.ドラッカーをマネジメント論として読むことに新しさはありません。組織体の「強み」と「弱み」を「機会」と「脅威」に照らして分析する手法(いわゆるSWOT分析)はすでにどこの企業でも取り入れられているものです。

重要なことは、こうした方法論としてP.F.ドラッカーを読み直すことにあるのではなく、組織体を「強み」と「弱み」に振り分けるその「基準(=思想)」、方法論としてのマネジメントを生み出し続けるその源泉に遡って思考するべきなのではないかと思います。

     

以上

PRIME NEWS 8月17日放送分

以下、『PRIME NEWS』2010年8月17日放送分のレビューです。

     

8月17日放送の『PRIME NEWS』では、<落選政治家の夏…今、何を考えどんな活動をしているのか?>というテーマで、先の参院選挙で落選した民主党の簗瀬進氏と共産党の小池晃氏、そして昨年の総選挙で落選した自民党の石原宏高氏をスタジオに迎えて、落選の原因分析と、今後の見通しを問うものでした。

     

各ゲストに関しては、お三方ともに有名ですので、それぞれの信条や経歴にご興味のある方はGoogleで検索するなりしていただければ様々な情報を目にすることができると思います。

     

番組において印象的だったのは、落選後の生活が非常に苦しいという点でした。

何が印象的であったかと言いますと、今の日本の選挙を取り巻く環境は非常に敷居が高く、弁護士や医者など資格を有しているか、もしくは経済的に裕福な者でなければ選挙に出馬することは難しい…、という点ではゲストのお三方ともに一致した認識を示しているものの、番組内においてそのような選挙環境を改善するために必要な「法整備」がまったく議題に上がらなかったことです。

政治評論家の田原総一郎さん風にいうと、私は「そこが聞きたい!」のです。

選挙への立候補が一部の富裕層に実質的に限られてしまうという問題は、「落選後の生活が辛いんです」といったお涙頂戴的な話で終わってよいものではなく、それは治者と被治者の自同性に関わる問題であって、民主制の土台に関わる問題です。

少なくとも私は、現在の日本の政治において積極的に支持する政党も議員もいませんが、それは、私の利益が彼らにおいて「代表」されていない、と感じているからです。だからこそ「そこを聞きたい」のです。

     

三名の元国会議員さんが、そうした選挙環境を取り巻く現状を問題視している元国会議員さん方が、それはどのような立法的処置によって改善されると考えているのか、国会・議員をめぐる法律は眩暈がするほど多くてややこしいので、出来れば今施行されている法環境がどのようなものなのかも含めて説明する。それが、「落選議員」に対して本当に問われるべきことではないでしょうか。

「政治家とは何か」「共産党という党とは…」など、理念を語りたがる政治家が多いのは結構なのですが、立法府における国会議員として、具体的な立法策について語れなければ、私はいつまで経っても彼らを「政治屋」としか見なし得ません。また、「事業仕分けパフォーマンス」や「官僚答弁の禁止」などではなくて、そうした立法策を通じて行政と裁判所をコントロールしていくこと、これが本当の国会主導ではないのでしょうか。

上記のような点において、今回の番組内容はいまいちで、本当に大事なことがはぐらかされたような印象を持ちました。

以上。

     

PRIME NEWS

『PRIME NEWS』 - 政治・経済・国際・環境・社会問題に特化した大型報道番組

メディア紹介No.064 - 『PRIME NEWS

 

スペック
運営者: 株式会社BSフジ(フジ・メディア・ホールディングスの持分法適用会社)
デバイス: TV
形式: 音声, 映像
フィールド: 政治, 経済, 国際, 環境, 社会問題
更新頻度: 毎日(平日20:00-21:55)
アクセス: BSフジのチャンネル

     

紹介文
『PRIME NEWS』は2時間枠の大型報道番組で、今関心の高い一つのトピックをテーマに、専門家・当事者・ゲストなどを招いて議論し掘り下げていきます。 

また過去に番組出演したゲストには、政界であれば総理経験者や各党代表者など、財界であれば森ビル社長や建築家の安藤忠雄氏など、豪華な顔ぶれが揃っています。

多くのニュースを伝えようとする民放報道番組に対して、『PRIME NEWS』はテーマを絞ることで深く視聴者の理解を得ようと努めています。

なお、過去2週刊分のハイライト動画を、番組HPから視聴することができますので、興味をもたれた方は一度ご視聴されてみてはいかがでしょうか。

上記リンクバナーから番組HPへ飛べます。

    

プレビュー

『PRIME NEWS』の来週一週間の放送予定内容は下記の通りです。

     

▽ 8月16日(月) - <情報革命を生き抜く策 カドカワが描く未来像>

米国プラットフォーム企業が席巻するなか、コンテンツ企業としてカドカワが取り組む”クール”革命とは

     

▽ 8月17日(火) - <落選政治家の夏…今、何を考えどんな活動をしているのか?>

先の参院選挙で落選した民主党の簗瀬進氏と共産党の小池晃氏、そして昨年の総選挙で落選した自民党の石原宏高氏を迎え、今後の見通しを問う。

     

▽ 8月18日(水) - <夢を捨てるな! 松本零士が語る、宇宙のロマンと人類の可能性>

人はなぜ宇宙に憧れるのか? 漫画家・松本零士氏とともに、人類の挑戦・その原動力について聞く。

     

▽ 8月19日(木) - <なぜ今【ピーター・F・ドラッカー】が注目されるのか? 知の巨人、経営学の神様が残したマネジメント論を学ぶ

今関心を集めているドラッカーのマネジメント論。ドラッカー研究者の三浦一郎氏と「もしドラ」の著者で作家の岩崎七海氏を迎えて「ドラッカー」を学びとる。

     

▽ 8月20日(金) - <ロックンロールは死なない>

60年代, 70年代の世界的な若者文化の象徴とも言えるロック。団塊の世代の大人たちの心に残るロックの意味をいま一度、考え直す。

     

以上。