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日経トレンディ

『日経トレンディ』 - 個人生活を刺激する流行情報誌

メディア紹介No.048 - 『日経トレンディ

   

スペック
運営者:  株式会社日経BP(株式会社日本経済新聞社の子会社)
デバイス: Paper
形式: テキスト, イメージ
フィールド: モノ, トレンド
更新頻度: 月刊(毎月4日発売)
アクセス: 日経BP書店(定期購読有), 書店, Fujisan.co.jp, amazon

     

紹介文
『日経トレンディ』は、トレンド, モノ, サービスなどをビジネスの観点から考察した記事を中心に編集されています。トレンドやモノを扱っていますが、消費者目線というよりはビジネスパーソンを意識した内容といって良いと思います。
ところで、世の中にはたくさんの企業があり、各々が製品やサービスを提供することで利益を上げようと日夜努力しています。
「企業」というと、「利益至上主義」や「合理主義」,「効率主義」のようなイメージを思い描いてしまいますが、実はそうでもないということは多くの社会人の方がよくご存じでしょう。
多くの「企業」の実態は、不合理で、非能率で、利益とは関係のないところで膨大なエネルギーが費やされているといっても過言ではないと思います。
多くの経営者が「利益を上げる」という命題を口にしますが、それはお題目のようなもので何も言っていないに等しいのです。
企業の姿や価値とは、経済屋さんが得意気に分析してみせる数字の羅列などではなく、製品やサービスに託された集合意識としての価値観にこそあります。
利益を上げるために製品やサービスを提供するというのはあくまで建前論(とりあえずあつらえたルール)でしかなく、各企業は夢や価値観の具現化として製品やサービスを提供します。動機も本当のところは利益の追求などではなく、抱え込んだ資本を動かさなくてはいけないからです。そして、その結果として売れる(あるいは売れない)のです。もちろん利益を上げるためのテクニックは大なり小なりありますが、利益の上下は常に結果でしかありません。
「原因と結果」という考え方に慣れすぎた私たちは、「結果」からそこに至った「原因」を探ろうとしてしまいます。しかし、過去何百年と「結果」から「原因」を分析してきた私たちが、必ず「成功」に至る「要因」を普遍的に定式化できた例が世の中に一つでもあるでしょうか。見出されたのはせいぜい小手先のテクニックにすぎません。
「売れる」か「売れない」かは、いつもマルクスがいう<命がけの跳躍>の後に発見されるのです。
企業は、「合理的かつ効率的に業務を進めて利潤を追求する」というイデアに至ろうとしているのではなく、仕方なくお題目を唱えつつ、自らの信じる価値観や理念, 夢を、社内政治や人間関係や様々な制約と闘いながら製品/サービスに託して世に送り出しているが本当です。
ここで当記事の趣旨に戻りますが、筆者は「結果」として現れる数字を軽視したり無意味だと言いたいわけではありません。ただ、モノやサービスというものは「売れる/売れない」ではない別の視点から見ることができるということを示しているだけです。そして、本当の企業の姿や価値というものは、モノやサービスを徹底的に見ることを通してしか見出されないということです。

     

プレビュー

『日経トレンディ』の次月号は9月4日発売です。

なお、今月8月号の特集は、

・最強のアプリ&フリーソフト - iPhone, アンドロイドからパソコン用まで全270

・アウトレットモール番付 - 新規開業, 増床ラッシュで勢力図に異変

・中国人観光客に売る秘訣 - 「漢方薬」「炊飯器」「爪切り」を日本で爆買い!

などです。詳細は下記画像を参照ください。

     

以上。

iPadは電子書籍市場でトップシェアを取らない

iPadという商品(デバイス)、またApp Storeというプラットフォームは、電子書籍市場の勃興期において一時的な熱狂で大きくシェアを占めることはあっても、長期的にはトップシェアを取ることはないように思います。

 

2010年7月3日号の『週刊東洋経済』では<メディア覇権戦争>と題された特集が組まれており、そのトップニュースにおいてアップル社製品に対する日米の熱狂ぶりが取り上げられています。

ただし、その記事のタイトルは<アイフォーン熱狂の裏で進むアップル”閉鎖”主義>となっています。記事中では、アドビシステムズの動画再生技術「フラッシュ」のアップル社のよる締めだしを例に、アップル社の閉鎖性を指摘しています。

ただ、よく知られているように、アップル社の閉鎖性は今に限ったことではありません。

日本では都市部の若い女性層を中心にスタイリッシュなエンターテイメントツールとして話題を呼んでいるアップル社製品(iPod, iPhone, iPad)ですが、日本の都市部の若い女性層は、そもそもアップルブランドにとってのメインターゲットではありません。

 

アップルのブランドポジショニングは「反体制」という言葉に集約されるものです。

それは言うまでもなくマイクロソフトとの関係性のことを示唆しているのですが、もう一つのポジショニングの柱である「つねに人が中心にある」という「人道主義」もまた、マイクロソフトとのコントラストにおいてブランドポジショニングの確立を強固なものとしています。

そして、こうした「理念」を共有できる相手こそがアップル社にとってのターゲット顧客層なのであり、その明確な「理念」にもとづいてアップル社の製品は設計されています。

スタジオジブリの宮崎駿氏に<妙な手つきでさすっている仕草>と痛烈に批判されたあのインターフェースも、こうした理念のもとに選択されているのです。

また、有名な『金融日記』というブログで、<iPadはとても残念なプロダクト>というエントリーが2010年6月13日付けで上がっていますが、最近iPadを手に入れたという筆者がiPadの機能性を取り上げて批判的な文章を記しています。(こちらはこちらで『金融日記』のポジショニングを踏まえた上であえてこきおろしているのだと思いますが)

大切なことは、iPadにおいて機能性はけっして優先事項ではない、ということです。

ジャーナリストのナオミ・クライン氏が、アップル社はもはや製品を売っているのではない、と否定的に主張しているように、アップル社が売っているのは一つの「理念」であり、「夢」なのです。さらに言うなら、それを売っているというよりも、むしろ「共有」しているのです。

そうした「理念」や「夢」が、アップル社と消費者との間で共有されていることを象徴しているのがiPhoneであり、iPadであり、iPodなのです。

ですからアップル社が閉鎖的であるのは当然ですし、アップル社の基本的な経営戦略はそのような閉鎖的空間をベースとしていると言えるでしょう。

 

本国より遠く離れた日本という国においては、そういったアップル社の「理念」や「夢」といったものは薄れてソフトバンクのマーケティング色が強く出ていますが、アップル製品とは本来そういうものなのです。

 

アップル製品はけっして市場でトップシェアをとることがないのは、「反体制」をブランド戦略の骨子に抱えているアップルにとって、「体制」と化してしまうことはブランドの死を意味するからです。

上記に挙げた『金融日記』との関係において、「あえて」批判されるような位置関係に立ってしまっていること自体に、アップル社が望んでいるブランドポジショニングとソフトバンクのマーケティング戦略とのずれを見てとることができるでしょう。

ただ、これからアップル社は少しずつその閉鎖性を表面化させ、やがては市場において完全に外部から遮断された独立国家を創り上げることになるだろうと思います。

 

以上。