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定本 物語消費論

定本 物語消費論 (角川文庫) 定本 物語消費論 (角川文庫)

大塚 英志 by G-Tools角川書店 2001-10

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『定本物語消費論』は大塚英志氏の著作で、’89年に刊行された同氏の『物語消費論』を加筆・訂正し、「補」を新たに加えたものです。

大塚氏は当時子どもたちの間で人気だった「ビックリマンチョコレート」なる商品に着目し、その消費行動を支えている背景へと考察の目を向けます。それは、個々の商品ではなく、それらの商品群を通して現れる一つの「世界観」が消費されている、というものでした。

そして、そうした「世界観」は送り手によって一方的に構築され与えられるものではなく、商品一つ一つに付されたシールに刻印されている情報の断片をもって、消費者自身の手で創り上げられていたのです。

フランスの社会学者ボードリヤールを引用しつつ、また柳田民俗学における近代以前の日本を対象とした物語論を紹介しつつ、大塚氏は現代消費社会の置かれた状況を「物語消費」という概念を用いて説明しようと試みています。

この本によって示されている大塚氏の消費社会論やポストモダン論、サブカルチャー論は、たとえば東浩紀のような後の研究者へと連なっていきますが、今から20年前に記されたこの『物語消費論』は、今でも有効な一つの参考文献として必読でしょう。

ちなみに、大塚氏は本書において、すでに現在のワンピース・ブームを具体的に予見されています。

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強欲な資本主義

政治ジャーナリストの田原総一郎氏が、複数のメディアを通じて「強欲な資本主義」論を展開しています。

たとえば、2010年8月5日にアップされた日経BPnetの時評コラムにおいて、

強欲な資本主義に「正義」はあるだろうか

というタイトルで記事が上がっており、また2010年8月20日号の『週刊朝日』のコラムにおいて、

<「強欲資本主義」の現代にはマルクスが必要だ>

との記事を上げられています。

いずれの記事も、日本の国内上場企業において1億円以上の報酬を受け取った役員の名前と報酬が有価証券報告書に記載されたことを題材に、保険会社のAIGなどアメリカの金融業界における巨額の報酬がいかに常軌を逸した水準に達しているかを、歴史的に、また他国との比較において検討したものです。

そしてその論の結びにおいて、「マルクス」や「強欲資本主義」という言葉を挙げてそのような巨額報酬の現状を批判しています。

 

私個人としては、それがアメリカのことであっても、日本国内のことであっても、一個人が巨額の報酬を「得る」ことに特に大きな憤りは感じません。たとえそれが不当に得られたものであったとしても、目くじらを立てて怒るほどのことでもないように感じます。

逆に私にとって関心があるのは、数億、もしくは数十億という報酬を得た彼らが、今後「何に対してそれを支出するか」です。批判されるべきは、そのお金を彼らが「貯め込み」、自身の老後や子孫に対して脈々と受け継がれていくことではないでしょうか。しかし、その大部分が消費や投資に向くのであれば、目くじらを立てて批判するほどのことでもないように思います。

 

ところで、何にお金を使うかは個人の勝手だ! として家計の支出をプライベートな事柄として詮索・評価させまいという社会的風潮があるように感じますが、なぜ「高額所得」に関してはメディアによって大々的に報道され評価されてしまうのに、「支出(消費)」が社会的に評価されないのか、不思議です。

 

社会学者のヴェブレンは、『有閑階級の理論 』で、過剰と浪費は富裕層の「特権」ではなく「義務」だという趣旨のことを述べています。

 

浪費が高額所得者にとっての「義務」だとまでは言わなくても、公正な「所得」について熱く議論するのと同じように、「支出(消費)」の倫理についての議論が必要とされているのではないでしょうか。