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PRIME NEWS 8月17日放送分

以下、『PRIME NEWS』2010年8月17日放送分のレビューです。

     

8月17日放送の『PRIME NEWS』では、<落選政治家の夏…今、何を考えどんな活動をしているのか?>というテーマで、先の参院選挙で落選した民主党の簗瀬進氏と共産党の小池晃氏、そして昨年の総選挙で落選した自民党の石原宏高氏をスタジオに迎えて、落選の原因分析と、今後の見通しを問うものでした。

     

各ゲストに関しては、お三方ともに有名ですので、それぞれの信条や経歴にご興味のある方はGoogleで検索するなりしていただければ様々な情報を目にすることができると思います。

     

番組において印象的だったのは、落選後の生活が非常に苦しいという点でした。

何が印象的であったかと言いますと、今の日本の選挙を取り巻く環境は非常に敷居が高く、弁護士や医者など資格を有しているか、もしくは経済的に裕福な者でなければ選挙に出馬することは難しい…、という点ではゲストのお三方ともに一致した認識を示しているものの、番組内においてそのような選挙環境を改善するために必要な「法整備」がまったく議題に上がらなかったことです。

政治評論家の田原総一郎さん風にいうと、私は「そこが聞きたい!」のです。

選挙への立候補が一部の富裕層に実質的に限られてしまうという問題は、「落選後の生活が辛いんです」といったお涙頂戴的な話で終わってよいものではなく、それは治者と被治者の自同性に関わる問題であって、民主制の土台に関わる問題です。

少なくとも私は、現在の日本の政治において積極的に支持する政党も議員もいませんが、それは、私の利益が彼らにおいて「代表」されていない、と感じているからです。だからこそ「そこを聞きたい」のです。

     

三名の元国会議員さんが、そうした選挙環境を取り巻く現状を問題視している元国会議員さん方が、それはどのような立法的処置によって改善されると考えているのか、国会・議員をめぐる法律は眩暈がするほど多くてややこしいので、出来れば今施行されている法環境がどのようなものなのかも含めて説明する。それが、「落選議員」に対して本当に問われるべきことではないでしょうか。

「政治家とは何か」「共産党という党とは…」など、理念を語りたがる政治家が多いのは結構なのですが、立法府における国会議員として、具体的な立法策について語れなければ、私はいつまで経っても彼らを「政治屋」としか見なし得ません。また、「事業仕分けパフォーマンス」や「官僚答弁の禁止」などではなくて、そうした立法策を通じて行政と裁判所をコントロールしていくこと、これが本当の国会主導ではないのでしょうか。

上記のような点において、今回の番組内容はいまいちで、本当に大事なことがはぐらかされたような印象を持ちました。

以上。

     

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本書は上下巻に分かれていてかなりボリューム感はありますが、非常に読みやすい文章ですので、サクサク読み進めていくことができます。
内容は戦後における世界経済の動向を、膨大な調査資料をもとに具体的に描き出したものとなっています。

本書の主軸は確かに「”市場”対”国家”」ですが、一方で本書からはまた別の軸を読みとることができます。
“経済”・”政治”・”文化”です。
人々にとっての”経済”とは「生きること」に他なりませんが、だからこそ”経済”は他のあらゆる領野に先行します。
民主主義制度下においては常に”経済”が”政治”に対して要求するのであり、飢餓への危機感が政治における一票となってサッチャーという首相を生み出し、また共産主義への幻想をつくり出しました。
イデオロギーも文化も、民主主義制度下においては後から遅れてついてくるものにすぎないということです。

本書が描き出した構図は、現在においてもなお重要な示唆を与えてくれます。
小難しい議論や抽象的な概念もなく、非常に楽しくかつ有益な書となっていますので、お薦めです。

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