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ガイアの夜明け 「価格vs個性 ~ここまで来た!新・外食戦争~」

先日放送されたガイアの夜明け2010年8月10日放送分では、外食産業の現状が取り上げられました。

270円均一という低価格サービスで攻勢を強める外食チェーンと、古き良き時代の雰囲気を再現する「横丁」に活路を見出す個人経営の飲食店という構図で、現在の外食産業における取り組みが紹介されていました。

 

外食チェーンの強みは、「低価格」よりもむしろ価格を含めた「信用」にあるといえるでしょう。つまり、「○○○」という居酒屋に行けばある一定の「安定したサービス」を受けられるという消費者にとっての予測可能性です。逆に個人経営型飲食店にとっての強みは「個性」すなわち「顧客ロイヤリティの高さ」ではないでしょうか。

一概にはいえないかもしれませんが、外食チェーンは大量な顧客を相手にすることで外因性の変化に強いものの、常に変革を求められるという宿命を背負っています。逆に、個人経営型飲食店は、一部の既存顧客を相手にすることでランニングコストを抑えることができるものの、資本力もなく外因性の変化に弱いといえるのではないでしょうか。

 

「横丁」の再現という戦略が正しいのかどうかはわかりませんが、個人経営型飲食店が集まることで多様性を確保していこうという試みはとても興味深いものでした。

 

また、番組を見ていて面白かったのが、外食チェーン側の企業として紹介されていた「三光マーケティングフーズ」と、「横丁」プロデューサ―として個人経営飲食店側において紹介されていた浜倉好宣さんとのコントラストでした。

 

「三光マーケティングフーズ」は「注文のタッチパネル化」や「最新の調理機器」の導入や、ドミナント戦略による地域集中投資型マーケティングなど、いかにも「新しい」ものとして紹介されており、仕入れ総責任者が価格交渉に訪れた先は地方の食品加工「工場」でした。しかし、その社内に目を向けると壁に貼られた紙資料や、新商品に義務付けられている社長承認、男性ばかりの従業員、職場で飛び交う怒号など、いかにも「古風」なのです。

 

逆に、「横丁」という古き良き時代を再現しようと取り組んでいる浜倉さんはというと、カラフルなシャツにジーパンという出で立ちで、70年代のフォークソングを彷彿とさせる、およそサラリーマンではないスタイルで、よく確認できませんでしたがスマートフォンを片手にビジネスを進めていたように思います。そして、三光マーケティングフーズが「工場」を訪れたのとは対照的に、彼が仕入れ交渉として訪れた先は「農家」でした。また、おそらく基本的には個人で活動されているのだろうと思いますが、樹木状の組織ではなく、リゾーム的な個人間ネットワークのなかでビジネスをしている、そんな「新しい」働き方という印象を受けました。

 

外食は、長いスパンで見たときに「社会におけるコミュニケーションの在り方」の基礎を形づくります。もちろん外食産業がコミュニケーションの在り方を決定するというわけではなくて、消費者と外食企業との間で相補的に作り上げられていく、ということです。

 

環境の変化によって変革を迫られている個人経営型飲食店の試みは、おそらくはその多くが失敗に終わるのだと思いますが、その中のほんの一握りの危機感をもった改革が、飲食店という括りを超えた普遍性をもつことがあるのではないかと思います。

 

以上。